大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(う)3375号 判決

被告人 五木田正臣

〔抄 録〕

原判決が、その理由中、原判示第二の事実を認定した証拠として、他の証拠と共に証人笹川与一に対する原裁判所の尋問調書を挙示していること、及び、該尋問調書が、刑事訴訟規則第三十八条、第五十二条の二に則つて作成されたものであつて、昭和三十年十月三日の原審第四回公判期日において適法な証拠調手続の行われたものであることは、いずれも所論のとおりであつて、所論は、右刑事訴訟規則第五十二条の二は、憲法並びに刑事訴訟法の趣旨に違反し、違法の規定であるから、該規定によつて作成された前示証人笹川与一に対する尋問調書は違法であり、これを証拠とした原審の訴訟手続には、法令の違反があるものというべく、その違反は、判決に影響を及ぼすことが明らかである旨主張するにより、案ずるに、右刑事訴訟規則第五十二条の二が、昭和二十六年十一月二十日最高裁判所規則第十五号によつて、新たに改正挿入されたものであつて、同規則第三十八条の例外規定であり、主として、憲法の所期する裁判の迅速と公正とを図ることを目的とする実務上の要求に基いて設けられた規定であることは、所論指摘のとおりであるし、なお、右刑事訴訟規則の改正にあたり、右のような実務上の要求のほかに、刑事訴訟法や憲法の諸規定、並びに、これら諸法の底に流れる精神と矛盾を来たさないよう考慮を要すべきこともまた所論のとおりであるけれども、前示昭和二十六年最高裁判所規則第十五号による刑事訴訟手続の改正は、もとより、最高裁判所において、日本国憲法第七十七条に定められた規則制定権に基ずき、刑事訴訟法の委任によつて適法に行われたものであるばかりでなく、右改正において、前掲刑事訴訟規則第五十二条の二の規定を新設したことにより所論のように憲法及び刑事訴訟法の諸規定並びにこれら諸法の精神と矛盾を来したものとは考えられないところであるから、右規則第五十二条の二の規定が違法であるとの所論は、これを採用しがたく、従つて、右の違法を前提として原審の訴訟手続の法令違反を主張する所論は、その前提を欠き、到底採用の限りでない。

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